2013年5月23日木曜日

アオバズク Ninox scutulata

 夏鳥として平地から山地の広葉樹林に渡来する。本県では4月末から10月中旬までの観察記録がある。営巣地の近くでは電線やアンテナに止まって鳴くのがよく観察される。ホッホー、ホッホーとふた声づつ連続して鳴くが、ミャッミャーという声も聞かれている。また秋の渡りの時に鳴き声を聞いたという記録もあった。
 夜間にカブトムシなどの甲虫類やセミ、蛾などの大型の昆虫を捕える。逗子では19時にアブラコウモリを襲った例もあった。
 社寺林や民家の庭のケヤキでの繁殖記録が報告されてはいるが、近年は営巣に適した洞のある大木のある林の衰退や伐採による生息環境の悪化、カメラマン等による人的かく乱により繁殖に影響されるとして、繁殖期絶滅危惧Ⅱ類に区分された。
(日本野鳥の会神奈川支部編 神奈川の鳥2001-05より)

2013年5月20日月曜日

ハシボソミズナギドリ Puffinus tenuirostris

 オーストラリア南東部の島々で繁殖。本県では4月から6月にかけて北上するのが確認される。オオミズナギドリに混じって確認される。観察例はそれほど多くない。移動中の若鳥が衰弱死して、海岸に打ち上げられた漂着個体の例、海上を飛翔、生簀周りでのイワシ採食、潜水採食の記録がある。習性はオオミズナギドリ、ハイイロミズナギドリなどと大きく変わらないが、ミズナギドリとしては潜水の採食もよく観られる。ハイイロミズナギドリに比べ、ひと回り小さく、額の出っ張り、嘴の長さ、胴体の太さ等で近距離であれば識別は可能であるが、慎重な観察が必要である。また、本種の方が羽ばたきが早く、慣れれば、その差が認識され、識別の有効な手段となりうる。
(日本野鳥の会神奈川支部編 神奈川の鳥2001-05より)



 
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2013年5月16日木曜日

サンコウチョウ Terpsiphone atrocaudata

 本県では夏鳥として渡来し、5月から7月にかけて観察される例が多いが、引き続き10月頃まで観察される。生息環境は山麓部から丘陵地の常緑広葉樹林やスギ・ヒノキ林の暗い環境を好む。繁殖は山麓部や三浦半島の丘陵地で確認されている。雌雄が交代で抱卵し、巣の見張りをしている。巣はクモの糸をまわりに塗りつけて補強している。縄張り意識は強くテリトリーに侵入したオスをキッキと鳴きながら追い出し、異種の争いでは、センダイムシクイ、ヤマガラを追い払ったり、巣に近づいたタイワンリスを追った例、またオオルリに追いかけられた例もある。メジロ、シジュウカラ、センダイムシクイやコゲラと混群で移動していた例もある。採食はフライキャッチをして虫を捕った例がある。
 神奈川県では森林伐採、宅地開発、ゴルフ場の建設による丘陵地や低山の林の減少や、撮影や観察を目的とした人が起因となる繁殖阻害が懸念されている。繁殖期・絶滅危惧Ⅱ類に区分された。
(日本野鳥の会神奈川支部編 神奈川の鳥2001-05より)






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2013年5月10日金曜日

キョウジョシギ Arenaria interpres

 本県には春と秋の渡り時に旅鳥として観察される。顔にある黒色の隈取が特徴的なシギで、干潟や水田、河川の中洲などに飛来する。下を向いたまま歩き、打ち上げられたゴミや海藻、石などをひっくり返し、下に潜む小型のカニや水生昆虫を採食する。ときには死んだ魚や貝などをついばむこともある。歩きながらチチリチチリと聞こえる声を出す。飛んでいるときにはギョギョギョと聞こえる声も出す。海岸干潟の減少や内陸河川の護岸工事などにより餌場を含む渡来地が減っており、そのため渡来数、観察機会が激減しているとして、繁殖期・絶滅危惧Ⅱ類に区分された。
 


(日本野鳥の会神奈川支部編   神奈川の鳥2001-05より)
 
 
 

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2013年5月7日火曜日

キビタキ Ficedula narcissina

 本県では夏鳥として渡来し、4月下旬から7月にかけて、また秋の渡りの10月頃に市街地の都市公園などでよく観察されている。生育環境は山地から丘陵地のよく繁った落葉広葉樹林を好み、繁殖も確認されている。採食はミズキ、マユミやカラスザンショウの実等、昆虫類をフライキャッチしたり、地上で捕える。神奈川県では森林伐採や道路建設等による環境悪化を要因として、繁殖期・減少種に区分された。
(日本野鳥の会神奈川支部編 神奈川の鳥2001-05より)
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2013年5月5日日曜日

バン Gallinula chloropus


 本県には留鳥として河川や沼、池、水田などで観察される。比較的開けた場所にも出てくるため、目にする機会は多い。公園の池や河川の葦原などで繁殖する。枯れ草を積み上げて巣を作り産卵する。孵化した雛は全体が黒い羽で覆われ、嘴は赤く、先端は黄色い。年に複数回の繁殖をし、最初に育った若鳥が雛の子育てを手伝う、いわゆるヘルパーの存在が確認されている。浅瀬や川縁を歩いて植物の実や水生昆虫を採食している。泳ぎながらクルックルッ、キュルキュルと鳴いたりする。


(日本野鳥の会神奈川支部編 神奈川の鳥2001-05より) 

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