2013年12月27日金曜日

ノスリ Buteo buteo

 本県では、主に冬鳥として渡来するが、山地や丘陵地には少数が夏季にも生息する。森林、草地、農耕地で観察されることが多い。ネズミ、モグラなどの小型哺乳類や鳥類を捕食する。樹上にとまって獲物を探すことが多いが、ホバリングして獲物を狙うこともある。チョゲンボウ、ハシボソガラス、ハシブトガラスからモビングを受けることや、オオタカに追われる観察記録もある。
 ピーピー、ピィエーキョッキョッキョッ、キイキイキイ、キュイー等の声が確認されている。
 神奈川県では繁殖期の個体数は少なく、繁殖記録も同一場所で継続していることもなく、生存基盤は、決して安定しているとは言えないとして絶滅危惧Ⅱ類に、また、非繁殖期は、越冬地である草地的環境が河川敷のグランド化や農耕地の開発、河川改修により消失、激減しているため、希少種に区分された。

2013年12月25日水曜日

オカヨシガモ Anas strepera

 北海道では少数が繁殖し、千葉県市川市行徳(行徳野鳥観察舎友の会1991)や谷津干潟(石川2001)でも繁殖が確認されている。一般には冬鳥として関東以西に多く渡来する。本県では多くないが、1990年代前半に増加した後安定した数が渡来している。丹沢湖などの山間の大きな湖ではあまり見られず、多摩川、相模川などの大きな河川の中流と、酒匂川の河口域、金沢区の長浜池など汽水域では比較的よく見られる。グェグェと鳴くが、求愛時にオスがフイーッまたはピーという鋭い声を出すのが観察されている。オスがメスの前で頭を上げ下げするディスプレイが見られたが、集団での求愛ディスプレイの記録は少なく、冬の早いうちからペアでの行動が良く見られる。水面採食や逆立ち採食を行い、岸壁についた藻を食べる行動も観察されている。

2013年12月23日月曜日

ルリビタキ Erithacus cyanurus

 繁殖期は、丹沢や箱根の標高1000m前後の山地で見られ、越冬期は、神奈川県全域の低山から平地で見られる。地鳴きはヒッヒッヒッ、またはグェグェッ等と鳴き、渡去前にはキョロキョロキョロリ等と囀ることもある。地上に落ちている種子、果実、ミミズや昆虫等を採食する。越冬期は一羽ずつがそれぞれ縄張りをつくって生活する。枝先にとまる際は尾羽を上下させながら左右に向きを変える独特の動きを度々見せる。神奈川県では、スズタケなどの下層植生の減少による営巣環境の悪化により減少傾向が著しいとして、繁殖期・絶滅危惧Ⅱ類に区分されている。

2013年12月21日土曜日

クイナ Ralls aquaticus

 本県では冬鳥として河川や休耕田に渡来するが、姿を見る機会はあまり多くない。関東地方では、過去に1988年栃木県渡良瀬遊水地、1992年茨城県神栖で繁殖が記録されている(栗崎1992)。生息環境としてはヨシやオモダカ等の水生植物が繁茂する川や池、休耕田を好み、あまり開水面には出て来ない。朝や夕方には活発に採食するため目につきやすくなるが、警戒心が強くちょっとした物音や足音などにも驚き、すぐさまヨシ群落や草むらに駆け込み、姿を隠す。鳴き声はキイーッ、クッ、クッ、キュウキュウと聞こえる声を出す。サワガニ、ミミズ、アメリカザリガニ等の水生生物を採食する。また小魚の死骸などを突くこともある。動物食だけでなく潜水して藻を咥えてきて食べたりする。神奈川県では、ヨシ群落の減少及び群落の質的な劣化傾向による生息環境の悪化があるとして、非繁殖期・絶滅危惧Ⅱ類に区分された。

2013年12月16日月曜日

ヒガラ Parus ater


 本県では留鳥として針葉樹が多い山地の森林に生息し、主に県西部で観察される。秋から春にかけては川崎市、横浜市、逗子市、茅ヶ崎市、平塚市、二宮町、湯河原町などの低地の森林でも記録がある。冬はシジュウカラ、ヤマガラ、エナガ、メジロ、コゲラなどと群れで行動する姿が見られる。繁殖は相模原市、丹沢、箱根の山地で記録がある。樹冠でツツピーツツピーツツピーやツチピーツチピーツチピーなどと早く囀る。マツ、スギ、ヤシャブシ、モミ、ヌルデなどの実を食べる。また、コブシの葉芽の中にいる小昆虫を取り出して食べたり、虫こぶをつついたり、ホバリングしてマツの実をつつく採食例が観察されている。

2013年12月14日土曜日

ホオジロガモ Bucephala clangula

冬鳥として、内湾、河口、河川などに渡来する。北日本に多く、関東以西は少ない。本県では数少ない冬鳥で、毎年定着して見られる場所は殆ど無い。相模川の中流域、酒匂川の河口域で見られている。かつて毎年少数が見られた芦ノ湖、金沢区の海岸でも渡来は不定期になっている。
 潜水を繰り返して水底の動植物を採食する。貝やカニを飲み込んだ観察例がある。オスがメスの前で首を上に伸ばしてから後ろに反らせて後頭部を背中につける様な動作の求愛ディスプレイが冬の間に見られるが、本県ではあまり観察されていないようである。
 オスよりメスタイプの観察頻度が高い。

2013年12月11日水曜日

ヤマガラ Parus varius

 本県では留鳥として、平地から山地の広葉樹林に生息し、都市部を除きほぼ全域で観察される。ただし、記録件数はシジュウカラのほぼ半分である。冬季はシジュウカラ、エナガ、メジロ、コゲラなどと群れで行動する姿が見られる。樹洞で繁殖するが巣箱も利用する。落葉広葉樹などの樹冠部や梢をソングポストとして利用する 。囀りはピーツンツン・ピーツンツン、ツンツンピー・ツンツンピーやピーツツ・ピーツツで地鳴きは鼻にかかったような声でニーニーと鳴く。 採食行動としては、種子などを両脚で押さえて嘴でつついて中身を食べたり、皮や殻を剥がして食べたり、イヌシデの花穂を食べる採食方法が観察されている。また貯食する習性があり、コナラやヒマラヤスギ、エゴノキの実などをくわえて飛びたつ例や、地面にドングリを埋める、コナラの実を電波塔のアンテナに押し込む例が観察されている。また実食以外ではイモムシ、クヌギの虫こぶ、オオカマキリの卵塊、アブラゼミなどの昆虫の捕食も観察されている。

2013年12月6日金曜日

ユリカモメ Larus ridibundus

 主にユーラシア大陸の沿岸部と内陸部で広く繁殖する小型のカモメで、嘴と脚が赤く、夏羽では頭巾をかぶったように頭が黒くなる。冬羽では、頭は白く、眼の後ろに黒斑がある。冬鳥として多数が渡来し、神奈川県では9月から4月まで群れが観察される。夏季にも少数の残留個体が見られることがあり、ほぼ年間を通して記録がある。
 港や海岸で観察される他、川もよく遡る。相模川では河口から25km付近まで見られ、相模原貯水池にも出現する。境川、大岡川などの都市河川にも現れるが、年によって個体数の変動が大きい傾向にある。川で見られる個体は、夕方には川を下って、海上で夜を過ごすと考えられる。
 食性は変化に富んでおり、魚の死体を食べる他、ダイビングで魚を採る、干潟でゴカイを採る、水面に浮かぶ小さなものを啄ばむ等観察されている。また、人馴れした個体が増えており、パンくずなどで容易に餌付けられる。横浜市の山下公園などでは、多くの個体が餌付いていて、ドバトとともに餌をやる人の周囲に群れているのが観察される。カモやコイへの給餌を横取りすることも多い。

2013年12月4日水曜日

コゲラ Dendrocopos kizuki

 留鳥として全国に分布する。本県では全域に普通に生息し繁殖もする。近年では市街地の街路樹や都市公園での繁殖も増えていて、多摩区、旭区、保土ヶ谷区などで記録があった。木屑を飛ばしながら枯れ木をつついて穴を掘り巣穴とする。巣は塒としても使用する。木を突いて中にいる昆虫を探し出す行動が見られるが、「樹の皮をめくって中の虫を丸呑みにした。」あるいは「樹皮のささくれの隙間を突いて採食した。」などの観察記録があった。「樹からホバリングして虫を狙った。」また「尾をくの字に曲げて幹につけたままで樹を突いた。」などの観察もあった。電柱やアンテナなどの人工物もドラミングをする。
 冬季はシジュウカラ、エナガ、メジロ、ヤマガラなどと混群をつくる。イモムシ、カイガラムシ、カマキリの卵、マユミの実、アカメガシワの実、ヌルデの実等を採食する他にヤマザクラの花蜜を吸った記録もあった。
 ギーまたはキューイッという地鳴きの他に聞かれるギーキッキッキッという鳴き声は囀りにあたるといわれる。2羽がギーキとチッチッ、ギィギィとチンチンチンと鳴き交わしていたという記録もあった。

2013年12月2日月曜日

ミヤコドリ Haematopus ostralegus


  日本には数少ない冬鳥または旅鳥として渡来する。近県の千葉県船橋市三番瀬では、2006.12.03に136羽を越える群れが確認された(三番瀬を未来に残そうのホームページ)。三番瀬では、1992年以降、数を増やしながら越冬を続けている。
 
 本県では相模川河口・多摩川河口の干潟、鎌倉~片瀬海岸の砂浜、江ノ島、三浦市毘沙門海岸の岩礁、横須賀、葉山などに渡来した例があり、毘沙門海岸では1973~76年に連続して越冬した(矢田1974a)。近年では10月の秋の渡りの時期に観察されたのみである。
 鳴き声として、ミャー、ピューピューなどが記録された。間接頭掻きをする。2001年以降の渡来例は、猿島、江ノ島~鎌倉、照ヶ崎で毎年のようにどこかで記録されている。江ノ島では、ここ2・3年では3羽前後が越冬をしている。